クレイゲラキのハイランダーイン本店からエルギンに向けて車を走らせて、5分ほどでロセスの町に入る。
この町の中心には美しい庭を持つグレングラント蒸溜所があって、絶えず旅行者の心を惹きつけている。また最近では、ポットスチルの製作をしているフォーサイス社が事業拡大とともにホテルを開業して、通りの雰囲気も随分と明るくなった。そんな町の外れ、少し奥まった丘の合間にある蒸溜所がGlenRothes。
黄昏時に丘を上がると、スチルハウスに灯った明かりがランプの様で美しい。
墓地の裏という立地が少しドキッとしてしまうけれど、蒸溜所から香るウイスキーを感じながら墓地での余生を楽しめるのなら、それはそれで幸せな場所なのかもしれないなんて考える。
バルジ型の蒸溜器で還流されできあがるスピリッツは重すぎず軽すぎず、しっかりと樽と寄り添い熟成されて、クラシックな味わいを楽しませてくれる。
殆どがフェイマスグラウスやカティーティーサークの構成原酒として使用されはいるが、シングルモルトとしてもその味わいを楽しめるので是非色々と試してみて欲しい。昔は蒸溜年の書かれたものがよく目についたが、最近では10年や12年など年数表記のものもでている。
原酒の安定感に定評のあるグレンロセスだが、その歴史は実は火災や事故との戦いでもあった。時に完成を目前に火災に遭い不運としか言いようのない出来事もあったが、それでも倒れずに生産を続け今日に至る。
現在順調にウイスキーを造り続けている数々の蒸溜所も、その道のりは平坦ではなかったはずで、それでも進み続けるその先に今があるのかもしれない。
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